VPNを使ってよりお得な航空券を見つける方法

航空券を買うのはユーザーにとって有利な体験とは言えません。航空会社は常に価格を調整していますから、「航空券が安くなるのを待っていたら、値上がりしてしまった！」という状況に心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな時に役立つのがVPN（仮想プライベートネットワーク）です。さまざまな場所のサーバーに接続できるため、地域ごとに価格を比較して最もオトクな運賃を探せます。

このガイドを読めば、「航空券価格に影響を与える要因」と「VPNを活用して航空券を安く買う方法」が分かります。

航空券の価格が変動する理由は？

航空券の価格はさまざまな要因が複雑に絡み合って決まります。顧客需要だけでなく、燃料費、乗務員の人件費、空港使用料、機体の整備関連費用なども関係しているのです。需要の影響は依然として大きいものの、航空会社が舞台裏で価格を管理・設定する仕組みも重要な役割を果たします。

航空会社の収益管理システム

航空会社は、高度な収益管理システムを用いて運賃を設定・調整します。主に「期待限界座席収入（EMSRb）」と呼ばれる手法で価格設定が行われています。航空会社は座席を複数の運賃クラスに割り当て、1日に数十万便ものフライトの価格を瞬時に計算する仕組みです。

しかし、2024年にQuarterly Journal of Economicsに掲載された研究によれば、EMSRbは私たちが予想するすべての要因を考慮しているわけではありません。例えば、競合他社の価格や代替便（顧客が路線は変えずにより便利または低価格なフライトを選ぶこと）の影響は通常考慮されません。1つの価格を変更すると同じルートの他のフライトの需要に影響が及ぶ可能性があるにもかかわらず、各フライトの価格は独立して設定されているのです。

意外なことに、航空会社は1円単位で価格調整を行っているわけではありません。航空会社がフライトごとに選択できる価格は比較的限られており、多くの場合、100ドル単位で事前に決められた価格から選ばれます。いきなり値上がりした場合、通常は「1つの運賃クラスが完売し、次に高い運賃クラスが適用された」という意味です。

航空会社はいつも価格を変動させているように見えるかもしれませんが、実際には厳正な価格構造のもとで運営されています。例えば、航空会社が50ドルの値上げで利益を得られたとしても、その価格に該当する運賃レベルがシステム上になければ、その価格は適用されない可能性があります。

多くの消費者は「航空券の価格は過度にパーソナライズされているのではないか」と疑っていますが、一部の航空会社が試験的に導入している「継続的収益管理」（よりきめ細かな価格設定を可能にするダイナミックモデル）さえ、消費者1人ひとりの価格を調整することはできません。

需要と供給

需要と供給は未だに航空券の価格に影響を与えています。特に休暇シーズンや特別な行事があるときなど、特定のルートの人気が高まると航空券の運賃が上がる傾向があります。逆に、需要が低ければ航空会社は空席を埋めるために値下げすることがあります。しかし、前述の通り、航空券の価格はあらかじめ設定された価格帯に基づいて決まりますから、需要・供給が価格に与える影響には限界があり、すぐに影響を与えるとも限りません。

Cookieとユーザー行動の追跡

「航空会社のWebサイトはCookieを使用してユーザーの検索履歴を追跡し、特定のルートに興味を示した場合は運賃を吊り上げる」という説を聞いたことがあるかもしれません。厳密に言えばこのような取り組みが行われている可能性はありますが、航空会社が価格を直接操作するためにこのデータを使っているという有力な証拠は確認されていません。

検索行動と値上げの間に相関関係はあるかもしれませんが、前述の研究などによると、Cookieデータよりも空席や予約の動向のほうが価格変更にはるかに大きな影響を与えることが多いようです。

とはいえ、予約サイトはマーケティングやおすすめ情報を表示するなどの目的でCookieを使用してユーザー行動を追跡します。このような追跡を避ける方法についてはこちらをご覧ください。

航空会社があなたの現在地を知る仕組み

航空会社のサイトや航空券予約サイトでは、利用者の位置情報に基づいて価格や利用体験が調整されることがあります。その仕組みを説明します。

IPアドレスの検出

IPアドレスからあなたのおおよその現在地を調べることができます。その地域の価格と通貨を表示する手段として大きな役割を果たすのがIPアドレスです。現地の価格戦略や法的要件により、地域によって価格が異なることがあります。そのため、VPNで国を変えると異なる運賃が表示されるかもしれません（必ずしも安い価格が表示されるとは限りませんが）。

GPSとWi-Fiのデータ

一部のモバイルアプリは、GPSをリクエストしたりWi-Fiによる三角測量を用いたりして、より正確な位置情報データを取得します。一般的にこのデータはマーケティングや不正行為の防止、現地の法律遵守のために使用され、航空券の価格をリアルタイムで操るためには使われません。

VPNを使って航空券を安く買う方法

VPNを使って航空券の価格を確認するのは意外に簡単ですが、必ずしも安い航空券が見つかるとは限りません。下記の手順に従うと、ほんの数分で格安航空券が見つかる可能性があります。

1. 航空券予約サイトにアクセスします。
2. 検索した航空券の価格を書き留めます。
3. ExpressVPNをダウンロードしてインストールするか、AircoveなどのVPN内蔵ルーターを使います。
4. 外国のサーバーに接続します。インド、メキシコ、ベトナム、タイなどを選びましょう。これらの国のほうが運賃が安い可能性があります。
5. ブラウザで「プライベートウィンドウ」または「シークレットモード」を開きます。こうすることで検索履歴とCookieによる価格の変動を防げます。
6. 航空券予約サイトに再度アクセスします。ページが表示されない場合、ページを更新するかブラウザのキャッシュを削除してください。
7. この時点で表示された価格を書き留めます。
8. 接続を切断し、他の地域に再接続します。満足できる価格が見つかるまでこの作業を繰り返しましょう。
9. 最も安かった地域に再接続し、航空券を予約します。

VPNを使って格安航空券を買うのは合法ですか？

はい。航空券を買う際にVPNを使って位置情報を変更するのはほとんどの国で合法です。多くの場合、航空会社のサイトや旅行サイトに表示される価格は地域によって異なりますが、他国からブラウジングすることを禁じる法律はありません。一般公開されている運賃を別の場所から閲覧しているに過ぎないのです。

ただし、予約と支払いの際は本当の個人情報を入力する必要があります。海外から予約したりVPNを使って予約したりすることについて不安がある場合は航空会社の規約をチェックすることをおすすめしますが、一般的にVPNを使って航空券を安く買うのは安全であり、合法です。

VPNを使うその他のメリット

オトクな航空券を買うのに役立つだけでなく、ExpressVPNは次のようなメリットもあります。

• オンラインプライバシーの強化：優れたVPNはインターネット通信を暗号化し、プロバイダやトラッカー、ハッカーなどからIPアドレスを隠します。これにより、企業やサイバー犯罪者、サードパーティがあなたの個人情報を収集するのは困難になり、データを盗聴から守れます。
• トラッカー対策：ExpressVPNはトラッカーブロッカーを内蔵していますので、Webサイトによる位置情報やデバイス情報、行動の追跡を阻止できます。
• 広告ブロッカー：ExpressVPNの広告ブロッカーは迷惑なポップアップ広告や悪質な広告を避けるのに役立ちます。
• 公共Wi-Fiでの安全確保：空港やカフェ、ホテルだけでなく、機内でのインターネット利用時もネットの脅威とデータ盗聴からあなたを守ります。
• 通信速度制限を回避：VPNはプロバイダによる帯域制御を避けるのに役立ちます。
• 他の商品も安く購入できる可能性あり：VPNを使って見つかるオトク情報は航空券だけではありません。IT製品、インテリア、家具、書籍など、ネット上で販売されているほかの商品も、ダイナミックプライシングや地域別価格設定の対象です。

シークレットウィンドウやプライベートモードを使うと航空券を安く買えますか？

シークレットウィンドウやプライベートモードを使うと値上げを避けられる場合もありますが、最も効果的な解決策ではなく、必ずしもうまくいくとは限りません。それどころか、まったく効果がない可能性のほうが高いと言えます。

シークレットモードとプライベートモードではWebサイトのCookieがセッション間で保存されるのを防げますから、検索を繰り返す際に価格の吊り上げを避けるのに役立ちます。ただ、検索を数回繰り返したことが原因で運賃が上がることはほとんどありません。価格設定を行う際に多くの大手航空会社は検索の繰り返しを考慮していないのです。

さらに、シークレットモードを使ってもIPアドレスは隠されず、位置情報は変更されないため、あなたの現在地の価格が表示されます。Webサイトへのアクセス元の位置情報を変更し、他の地域の価格を閲覧・比較するには、ExpressVPNなどのVPNを使う必要があります。また、シークレットモードは旅行中のセキュリティ強化には役立ちません。

航空券を安く購入するその他の方法

航空券を安く購入したい場合、ほかにも7個の節約術を紹介します。なお、ここで紹介する方法はどれもVPNを使うとさらに効果的です。

日曜日または深夜に予約する

オンライン旅行会社エクスペディアによる2024年のレポートによると、航空券の予約を入れるには日曜日が最適です。多くの場合、日曜日に航空券を買ったほうが平均で13%の節約になるため、格安航空券を見つける絶好のチャンスと言えます。また、オンラインユーザーが少ない深夜は価格が下がる傾向があります。逆に、繁忙期には需要が高まるため航空券の価格が上がります。

空席を埋めるために航空会社が運賃を若干下げられるのは、このようなダイナミックプライシングモデルを導入しているためです。VPNを使ってタイミングを工夫すればオフピーク時にさまざまな国の価格を比較できますから、さらにオトクな航空券が見つかるかもしれません。

時間に余裕を持って予約する

通常、出発日が近づくにつれて航空券の価格は高くなりますから、数ヶ月前に予約したほうが安いはずです。節約したい場合、国内旅行は1～3ヶ月前、海外旅行は2～6ヶ月前に予約するようにしましょう。最適なタイミングは地域によって異なりますが、原則として出発日の21日前、14日前、または7日前までに予約するのが良いでしょう。この時期は料金が大幅に高くなる傾向があるからです。フラッシュセールが見つかった場合は別ですが、直前予約は高いので注意しましょう。

「オープンジョー」旅行を検討する

オープンジョー航空券とは、行きの到着地と帰りの出発地が異なる航空券のことです。例えば、アメリカからイタリアに旅行する場合、往路はベネツィア着、復路はヴェローナ発の便に乗るといった具合です。特にヨーロッパや東南アジアではこのようなルートのほうが往復便よりも安く、旅行の自由度が上がります。複数の都市を経由する航空券を予約するのもありでしょう。

旅行日程は柔軟に

航空券を安く買う方法で最も簡単なのは、旅行日程をうまく調整することです。日曜日に航空券を購入し、平日（特に月曜日、火曜日、水曜日）に出発したほうがピーク時に旅行するよりもオトクです。休日や休暇直前は航空券が非常に高くなる傾向がありますから、避けたほうが良いでしょう。

「出発直前になると航空券が安くなるのでは？」と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。通常はその逆で、直前まで待つと航空券の価格が大幅に高くなってしまう可能性があります。

航空券比較ツールを活用する

Googleフライトなどのサイトは、複数の予約プラットフォームや航空会社のデータを一括分析し、最安値の航空券を見つけてくれます。また、主な予約サイトでは、特定のフライトを追跡して航空券の価格が下がったりセールになったりした際に通知を受け取れます。航空会社のサイトではなく、信頼できる航空券比較ツールを使ったほうが良いでしょう。

ブラックフライデーの航空券割引や航空会社のセールを待つ

ブラックフライデーやサイバーマンデーなど、航空会社はビジネスに関連する祝日にセールを実施します。特にオフシーズンのフライトを予約する場合、フラッシュセール中に航空券を買うとかなり節約できるはずです。

エラー運賃をチェックする

エラー運賃とは、航空会社のミスによって間違った価格（多くの場合、本来よりはるかに安い価格）が表示される現象です。ミスの原因は、技術的障害、通貨換算の間違い、または人為的ミスなどが考えられます。

エラー運賃について通知するオンラインサービスも存在しますが、そのようなサービスに登録しているユーザーは大勢いるため競争が激しく、時間制限もあります。「10分後にスマホを見たらすでにセールが終了していた」ということもあり得ますので覚悟しましょう。